5/9、10 つるぎのめぐみワイルドウォーク

もう随分経ちましたが、表題のイベントに参加して来ましたので、そのレポートです。

 この大会を知ったのは31日にある剣山スーパー林道マウンテンマラソンに申し込んだ後のこと。マウンテンマラソンが「シリーズ戦の第2弾」になっていて「としたら第1弾は?」と検索して見つかったのがこの大会でした。那賀川河口から剣山までの120kmを2日かけて登るSea to Summit、レースではなく時間制限も緩いけどある程度走らないと完走は出来ない、といった大会。Sea to Summitは一度やってみたかったのと複数日のステージ制も経験してみたかったので参加することにしました。
 しかし、3月の伊豆トレイルジャーニーが終わってからも頑張って走り疲れが溜まっていたところに風邪を引いてしまったせいで、殆ど4月はまともに走れませんでした。GW後半になってやっと体が復調して来たので、何処まで行けるか判りませんが参加することにしました。

 何度も徳島には行っているのに何時間くらいかかったか直ぐに忘れてしまい、ちょっと早く1時半に岡山を出る。結局深夜だったので早く着き、受付会場の徳島県南部総合県民局阿南庁舎には2時間ちょっとで着きました。受付を済ませ5時半に参加者100人弱がマイクロバス3台でスタート地点の那賀川河口へ移動します。バスを降りた所からスタートするのかと思ったら更に先端へ歩いて移動します。20年くらい前、那賀川センチュリーランというサイクリング大会に出ましたが、その時は国道脇の土手道からスタートだったけど、本当に河口からスタートなんですね〜。
 スタート地点の砂浜に着いたのはスタート15分位前、開会式が遅れ「6時スタート大丈夫?」と思っていたら、開会式を無理に終わらせ6時にスタート。3台目のバスが遅れ、3台目のバスに乗っていた人はスタート地点に着いたと思ったらスタートでした。そんなドタバタに参加者から笑いが漏れる中のスタートとなりました。「小さな大会はこういうのが楽しいよね」なんて思いながら先ずは砂浜を歩きます。砂浜を抜けると川の土手道を遡上、体調も万全でないので500m間隔で歩きを入れながら走ります。申込み時点ではもう少し緩いコースだったと思いますが、最終案内を見ると太龍寺など峠越えが2つ増え距離も5km増しとなり、前半はまあまあ走らないといけない感じになりました。特にCP1までは距離18kmを2時間45分、重い荷物を背負ってのランだと時速8〜9km程度なので、ちょっと余裕をもって着くには殆ど走らないといけないレベル、あまり歩いてもいられません。お天気は曇りで時折ぱらつく程度の雨、長距離を走るには丁度良いお天気になりました。
 途中那賀川を外れ城山という山のちょっとした峠を越えた辺りだったでしょうか、1人の方が話しかけてこられたので、そこからはその方と行動を共にすることになりました。愛媛県の方でランニングのこと、自転車のことなど話しながら進みます。CP1のお松大権現へは2時間10分で到着(18km)。先ずは正義を貫いて亡くなったというお松さんを偲び大権現へお参り、その後エイドでケーキを食べてから太龍寺へ向かいます。
 将来リタイヤしたら四国88ヶ所巡りや大峰奥駆修行もしたいと思っているので、峠越えが増えてちょっと厳しくはなりますが、今回太龍寺の遍路ころがしの道を通れるのは良かったかな。その道へは程なく入り、緩やかなトレイルが続きます。トレイルに入ると楽しくなってつい頑張ってしまいます。道は山頂近くはコンクリート舗装の参道になっていて、こちらの方が傾斜がきつくてしんどかった。太龍寺は思ってた以上に大きなお寺でもう少し時間があれば散策したいところですが、トイレを済ませたら下ります。こちらの方は急な道で一気に下って国道に出ました。
 国道に出ると鷲敷の街中、この辺りにお店が集中しているということで早速コンビニに寄ってコーラとアイスを調達。アイスを食べ食べ歩いていると地元の方が道に出て応援してくれます。「この大会を知っててわざわざ出て来てくれたのかな?」有名な大会でもないでしょうから、この大会で道沿いでの応援とかあると思っていなかったのでちょっとビックリでした。感謝。国道を離れる所がCP2でした(31.6km、4時間42分)。ここは水だけなのでボトルに水を補給したら2つ目の峠へ向かいます。以前来たことがあるわじき温泉を過ぎると峠道。暫くは走っていましたが疲れが出てきたので、一緒に走っていた方には先に行ってもらいペースを落とします。4月に走れていない影響が早くも出てきたようです。峠を越え下りに入るとまた走り那賀川まで下ります。
 那賀川へ降りると国道とは反対側の川沿いの道を進みます。殆ど車も通ることのない無い長閑な道を疲れたら歩き、回復したらまた走るといった感じでマイペースで進みます。一緒に走っていた方とは一緒になれば話しながら進み、トイレ休憩やペースが合わなくなったらまた離れます。途中の自販機では既にコカコーラが売り切れ、仕方なくゼロカロリーを購入。ここの自販機担当の方は「何でこんなに売れたのか」驚くでしょうね(笑)。
 CP3へは7時間36分で到着(50.4km)この辺りからは道が繋がっていない所は川沿いのトレイルを歩いたり3人まで限定の吊り橋を何度も渡ったりと単に川沿いの舗装路を延々進むだけかと思っていたので、時々その様な変化があるのが楽しい。しかし、この辺りから雨が本降りに。お昼頃はこのまま晴れるかと思いましたが、山間部に来るとやはり雨でした。暑がりなので体温を下げる意味では良いのですが、靴の中が濡れ靴下と擦れてマメが出来てきました。クリームを塗ってマメ対策はして来ましたが、雨で効果を失ってしまいました。上流域となりエメラルドグリーンが濃くなった那賀川を眺めながら我慢の歩みが続きます。
 CP4手前、この辺り唯一の自販機にみなさん休憩していたので私も休憩。ここの自販機にはカロリーメイトがありました(さすが大塚さんの地元)。手持ちの食料も尽きてきたところだったので購入しようとしましたが、濡れたお札は受け付けられないんですね〜(笑)。隣の方が乾いたお札と交換してくれたので買うことが出来ました。そこから程なくCP4へ到着(73.2km、11時間50分)。ここから本日最後の峠越え。ここも車道が途切れているので、この山道を通るしかないのだろうけど、地元の方しか知らないような山道を登ります。標高差200m程でしたが、疲れた体には結構堪えました。登り切ると民家に出て車道を横切り反対側へ下ります。ダム湖が見えてきたら山道も終わり。何とか明るいうちに峠を越えられました。
 大戸橋を渡ると後は国道を進みます。足の裏や膝がかなり痛くなって来たのでここからはストックを使い早歩きに徹します。この辺りからは神奈川県から愛媛に帰って来て来られたという方とレース談義に花を咲かせながら、日も暮れ通る車も無い寂しい国道を歩きます。関東周辺のレースにたくさん出られたそうで、いろいろ伺うことが出来ました。旧木沢村まで来ると最後のコンビニがあるということで期待してましたが判りませんでした。(後日、マウンテンマラソンの帰りにチェックしたら役場の近くにあり午後7時までの営業でした。)役場を過ぎるとゴールの四季美谷温泉まではもう少しだと思っていたら、まだ8km程あり、ここからが兎に角遠かった(と言うか、遠く感じた)。民家も無く暗い国道、歩けど歩けどなかなかゴールは見えてきません。そんな中ヘッドライトが点々、案外近い所に何人もの人が歩いていて、途中で追い付いたり追い付かれたり。その都度「最後遠いね〜」と言葉を交わしながら進みます。あと5km辺りではCP1手前から一緒だった方が追い付いて来て「回復したので走って行きます〜」と元気よく走って行かれました。
 あと3km位の所でT字路を左に曲がります。スマホで位置確認のため地図を見るとT字路を右に行けば以前福寿草を見に訪れた西三子山でした。「そんなこともすっかり忘れてたな〜」なんて思いながら最後頑張ります。お天気は回復し、気が付くと月も出ていました。21時30分(91.2km、15時間30分)、ようやくゴールの四季美谷温泉に到着。ここ1か月ほどまともに走れなかったのが原因とは言え、なかなかハードなウォーキングでした。
 暫しロビーで体が落ち着くまで休憩したあと部屋へ。大部屋に大人数での雑魚寝かと思っていましたが、各部屋数人単位のようで、私の所は3人でした。先ずはお風呂より食事に行きましたが、既に時間が遅かったのでかつ丼とカレーの限定メニューになっていました。かつ丼を注文し、食べるまでは何も問題なかったのですが、半分も食べないうちに気分が悪くなり貧血時の様に意識が薄れて来たので、食べるのを止めて暫し横になりました。30分程休んだ後、再び食べてみましたが、また気分が悪くなったので、結局残してしまいました。食べ残すことなどまず無いのですが、仕方ありません。コーラを含め水分を採り過ぎたのが原因かな?コーラ2Lは飲んだもんね〜(^^;
 風呂は後回しにし、部屋に帰って直ぐさま寝袋に潜り込んで寝ることにしました。そして少し寝て起きると0時過ぎだったので、ようやくお風呂に行きました。お風呂から部屋に戻った頃には体も落ち着いたので、途中で買ったカロリーメイトを食べてみますが、何とか食べられたので一安心。最後、足に出来たマメのケア。両足とも母指球に直径3cm大、親指と小指にそれぞれマメが出来ていました。しっかり潰してから就寝。

 3時、同室の方の目覚まし音で目が覚める。2時間しか寝ていませんが、ぐっすり寝たので案外眠くはありません。準備を手早く済ませたら朝食へ。食べられるか心配でしたが、問題なく食べられたので出走することにしました。疲れはそこそこ溜まっていますが、足の筋肉痛とかは特になし。兎に角足の裏が痛い。マメによる痛みだけでなく母指球辺り打ち身が激しいようです。クッション性の高いHOKAのCliftonを使用しましたが、足に合ってないのかな〜。って、今日もそのトレイル版のChallenger ATRなんですけど・・・。
 5時、四季美谷温泉をスタート。フレッシュなCCクラスの人たちが勢いよく走って行く中、最後尾辺りからゾロゾロと付いて行きます。今日は30kmを11時間でカバーすればよいので、今日こそウォーキング大会。完走第一なので兎に角無理せず歩き通すことにします。最初は一人で歩いていましたが、そのうち同じペースのHSCクラスの人と一緒になり、その中、地元徳島の方とずっとおしゃべりしながら歩くことになりました。今日も最初は20km程ロードが続きますが、ランニング、自転車、山のことなど話していたらそんなに長くは感じません。CP6へは1時間56分で到着。10.7kmを2時間弱なので歩きとしてはまずまずのペース。おにぎりを貰って食べちょっと休憩したら先へ進みます。次第に標高を上げますが、時折次郎笈辺りでしょうか?山の稜線が見え隠れし、まだまだ標高差があることを教えてくれます。新緑の緑と快晴の青空、そして、心地よい風、足の裏さえ痛くなかったら最高なんだけど。
 CP7へは4時間14分で到着(20.5km)。トイレに行きたくなったのでご一緒していた方とはここでお別れ。CP7ではドロップバックを受け取れるので入れておいたコーラ2本のうち1本を一気飲み。捕食の方はエイドで出される食べ物で十分そうなので足さず、コーラだけザックに入れ、代わりにここから使えないストックを置いて行きます。
10分程休憩したら山道に入りますが、途端に足の裏の痛みが激しくなりました。ここまでは舗装路で、しかもストックも使っていたので、あまり痛くならないように歩けましたが、ここからは不整地でストックも無し、加えて斜面を横切る細い道で、気を付けていても痛い母指球辺りで着地し、その都度「あ痛っ」となってしまいます。「痛くない」と言い聞かせれば、我慢も出来ますが、ずっと気合を入れ続けるのも無理で、気を抜いた時にまた「あ痛っ」。そんな状況で普段の山歩きよりも遅いペースで進みます。
 やっと沢沿いから離れる辺りでCP8に到着。「奥にほら貝の滝がありますが行かれますか」とスタッフの女性に声をかけて貰いましたが「余裕ありません!」とパス。CP8を過ぎるとちょっとしたロープ場があり、その先から剣山山頂へ2km程で標高差500m強を登る直登が始まります。相当急な上りだと思っていましたが、道が九十九折に付けられているので、そこまで急斜面を登る感じではないのが救い。止ると歩き出しが痛いのでゆっくりと一定ペースで登ります。右に一ノ森、左に次郎笈を見ながら森を抜け笹原となると山頂まではもう少し。
 スタートから6時間8分かかってやっと山頂の木道に到着(25.0km)。丁度そこがCP9で山頂ヒュッテでのうどん券を貰いました。山頂ではヘリコプターが山頂に荷物を運んできているようで一部木道が通行止め。そのため山頂経由のちょっと遠回りをしてヒュッテへ。剣山へは何度も来ていますが、ヒュッテで食事をするのは初めてかな。お腹が空いていたのでうどんがとても美味しかった。ヒュッテでゆっくりした後、記念にお守りを買ってから次郎笈へ向かいます。本日初めての下り、足が痛くなければ気持ちよく走って下れる道ですが、今日は一歩一歩歩いて降ります。今まで踵着地を矯正することに務めてきましたが今日は思い切り踵着地で歩きます。そして鞍部まで降りると次郎笈へ最後の上り。ちょっとした上りですが疲れも出て来てここはちょっとしんどかった。
 7時間21分で次郎笈に到着。暫し景色を楽しんだら奥槍戸へ下ります。ここを通るのは第1回大会の地下足袋王子杯で登って以来。最初急な下りを降りるとトラバース道が続きます。そして九十九折の道になった所で「最後だけは走ろう」と決め、僅か1km程ですが走って下ってゴールへ。
 8時間6分で奥槍戸へゴール(28.7km)。申し込んだ当初はレースでもないし、時間制限も緩いので、余裕でゴール出来ると思っていましたが、1ヶ月程走れなかったこともあり予想以上にハードなウォーキングでした。足のケアをもう少ししっかりやっておけば2日目をもう少し楽しめたので、これは今後の課題かな。ゴールで完踏賞とお土産を貰い山の家でそば米汁をいただいたらバスで四季美谷温泉へ。
 温泉へ戻ると1日目ずっと一緒だった方と再会、「お疲れ様」と声を掛け合ったあと温泉へ入り疲れを癒します。長風呂から出てくると、阿南へバスがもうすぐ出ますとのアナウンス、急いで準備して行くと何とか最後の1人で乗り込めました。予定では閉会式があってその後バス移動でしたが、どうやら閉会式は無くなり、人数が集まり次第バス移動に変更になっていたようです。バスの中では愛知県からこの大会にやって来たという若者と隣になったので、ずっとレースや地元の山の話で盛り上がり、気が付くと駐車地の徳島県南部総合県民局阿南庁舎に到着という感じでした。バスを降り、大会中に出会った方々と「また何処かで」と別れ帰途に着きました。

感想なと
・去年のトップゴールの方が「UTMFより楽しい」というようなことを開会式で言われてて「ちょっと大袈裟」と思っていましたが、終わってみると今までで一番楽しい大会だったかも。レースでない長距離の大会、しかも、100人規模ということで、同じ位のペースの人と行動を共にし、話もたくさん出来たことが、何よりも楽しかったですね。大人数のレースだと逆に二言三言話すくらいで終わることが多いので、このような小規模の緩い大会の方が参加者同士の交流を図る意味では良いですね。来年もあれば勿論参加します。思っていた以上にハードだったので今度は体調を万全に整えて。
コスパ的にもかなりお得な大会でした。
 エイドやゴールでの飲食
 雑魚寝とはいえ温泉での宿泊と温泉利用
 送迎バス
 参加賞やゴール後のお土産
 参加者からするとこれで1万5千円はお得ですが、100人程ではかなり赤字なんじゃないかな。
・コースについてはウォーキングといいつつ、1日目が結構ハードでした。特に1日目の前半は制限時間的にも厳しかったと思います。その辺りもう少し緩くなるともっと楽しめたかな。しかし太龍寺の遍路ころがしの道は一度は歩いてみたいと思っている人も多いと思うので(特に四国以外の人)、今回追加になって良かったと思います。
・ドロップバックについては2日目より1日目のCP3辺りで貰えた方が良かったかな。2日目はエイドで出されるもので十分だったので、それよりお店も無くなる1日目の後半で貰えた方が有難かったですね。


腕時計の記録
1日目
 距離  90.7km
 標高差 3450m
2日目
 距離  29.0km
 標高差 2982m

1日目スタート風景

那賀川沿いを進む

城山への上り

お松大権現

遍路ころがしの道

太龍寺

百合谷峠

3人制限の橋

雨上がり

大戸へ峠越えして降りた所

1日目のゴール

2日目のスタート風景

山の稜線が高い。

槍戸川沿いのトレイル

笹原の急登

剣山山頂到着

剣山から次郎笈を望む

次郎笈から剣山を望む

ゴールの奥槍戸

代償

コース 1日目:ピンク 2日目:紫

1日目のプロフィール

2日目のプロフィール