10/12、13 2014 日本山岳耐久レース ハセツネカップ

1ヶ月も経って、今更ながらハセツネのレポートです。

山を走り始めた6〜7年前、最も有名な山岳レースと言えばハセツネだったように思います。(今はUTMFとかもっと距離の長いレースも増えましたが。)その頃から一度は出てみたいと思っていましたが、エントリー開始が平日、しかも瞬殺で、なかなか申し込めない大会でした。今年は休日にエントリー開始だったので何とか申し込むことが出来ました。

しかし、大会前になって巨大台風が接近し丁度週末に通過しそうな状況に。「わざわざ東京まで行って荒天の中走るのも嫌だな。」と大会中止を密かに期待しましたが、大会側の発表は「大会期間中の影響は少ないとの判断で開催します。」とのこと。大会は無事終えても帰りに丁度台風とクロスしそうなので悩みましたが、帰るころには勢力が弱まることを期待して行くことにしました。

近くの宿は取れなかったし、公共機関で行くのも面倒なので、東京まで車で行きます。ただ、車で行くと駐車場が無さそうなのが問題。調べても駐車場は武蔵五日市駅前のタイムズしか無さそう。先ずはタイムズの駐車場、ダメなら大会当日大会側が用意した駐車場利用、それもダメなら隣町の駅前駐車場に止めて電車移動、という手はずでいきます。大会前日岡山を9時に出発。移動しながらタイムズ駐車場の混雑状況をスマホアプリで確認。便利な世の中になりました。すると昼頃には混雑状況になり15時には満車に。早くも予定が狂いそうですが、着いた頃には状況も変わっているかもしれないので兎に角行ってみます。

18時過ぎにやっと武蔵五日市駅前に到着。運転は苦にならない私も650kmの移動はちょっと疲れました。直前にアプリでのチェックはせず「どうかな〜」と駐車場入口に行ってみると「満車」マークなし。しかし、入ると最後の1台でした。その後、電車が着く度に利用者の車が出ていくので20時辺りまで10台前後は出ていったでしょうか。その頃までに来ていれば何とか駐車場に入れそうでした。駐車場の傍には交番とトイレ、道を挟んでコンビニもあるので車中泊でノープロブレム。ただ、駅前で明るいのとバイクの爆音が煩いのが難点。それよりも自分の場合頭痛が酷くなかなか寝られません。ここ1年くらい頭痛と胸の痛みが出る日は全く走れなくなるので、明日この症状が出ないことを祈るのみ。薬を飲んで何とか0時頃には就寝。

6時に目が覚めたので朝食を採り、準備をします。何とか頭痛は治まってくれたようです。

装備としては

・ザック    YURENIKUI ZAINO
・水      2.5リットル
・捕食     羊羹16個(1時間に1個間隔で採る予定)
サプリメント 10本
・衣類     レインウェア上下、アンダーウェア着替え、手袋、アームウォーマー、帽子、ウィンドブレーカー
・シューズ   モントレイル ログフライ
・ライト    メイン SILVA トレイルランナー2 予備電池3セット
        サブ  KLARUS MIX6
・ストック   ブラッグダイアモンド ウルトラディスタンス
スマホ
・デジカメ
・その他    エマージェンシーシート、熊鈴、ホイッスル、ボルタレン

UTMFの時程ではないけど結構重い。

8時には大会会場の五日市中学校へ。まだ早かったので体育館の壁際を何とか確保出来ました。受付を済ませた後は13時のスタートまで長いので仮眠をとりながら過ごします。12時を過ぎると皆さんグランドに並び始めたので並ぶことに。流石に2500人は多い!9月に460kmほど走ったものの今年はあまり走れていないので、あくまで完走が目標。ということで16時間の最後尾辺りに並びます。しかし、スタート前20時間組とごちゃ混ぜになりました。

13時スタート。多くの応援者の人垣の中を駆け抜けるのは気分が高まって良いですね〜。直ぐにメインストリートを渡り、川まで下ったら右折。お寺の横から山へ上がって行きます。山道に入ると早くも大渋滞。道が二手に分かれているので右の道に付いたら左ばかり進んで振り返ると最後尾になっていました!流石に2500人が一気にシングルトラックに入るので予想以上に全く進みません。数歩歩いては止るの繰り返し。予備関門通過が大丈夫かと心配になるくらい。下山中の登山者の方、1時間ほど通過を待っているとのこと、ご迷惑をお掛けしております。やっと変電所辺りの舗装路に出るとばらけましたが、神社から山道に入るとまた渋滞に。下りで少し走れるものの上りになるとスピードが落ちるので渋滞になる、の繰り返し。長年やっている山岳レースのコースなのでもっと道幅も広いのかと思っていましたが、抜くのがなかなか難しいくらいの道幅で兎に角前の人に付いて行くのみ。アップダウンはコースプロフィール以上に小刻みで急なアップダウンが多い感じ。頑張って走るとかなりきついコースのようなので、完走目的なら渋滞にはまって抑え気味に入る方が良いのかもしれません。ただあまりに渋滞し過ぎて抑え過ぎの感は否めませんが。途中で応援してくれていた方が「面白いコースじゃないけど」と言われていましたが、確かに植林の中の道が続き、展望も殆どないので面白味のあるコースではなさそうです。

手元の時計で15km位進んだ所で暗くなったのでライト点灯。今回ライトはSILVAのトレイルランナー2を使用。明るさはローとハイの2段階、ワイド配光のみとシンプルな設計のライトです。単4電池3本なのでハイだと3時間程度しか持たないので、上りはロー、下りはハイとこまめに切り替えながら走ります。

スタートから6時間近くかかってやっと第一関門の浅間峠に到着。距離は20km程。20km進むのに6時間、アップダウンの多いコースだったけど6時間は掛かり過ぎだよね。補給、トイレを済ませボルタレンを足に塗ってから出発。ここからはストックが使えるのが有難い。暫くは緩いアップダウンの道で軽快に進む。しかし、直ぐに前に追いつき、後ろからも追いつかれるので、直ぐに10人前後のグループになる。途中で休む人がいてちょっとばらけても、休んでいた別の人が復帰したりして直ぐに10人程度のグループが形成され、一人で伸び伸び歩ける時間は無さそうです。

30kmを過ぎ最高点の三頭山への登り入る。急な登りがずっと続いて結構辛いがまだ足を休める程疲れてはいない。このあたりから道端にダウンしている人が多くなる。体を動かさないと寒くて耐えられないように思うのですが・・・。頂上付近まで来ると、霧が立ち込め、台風の影響が出てきたのか風も強くなる。最初雨かと思いましたが、ライトをローにすると周囲の景色も見えて来て見上げると月が出ていました。ナイトランが楽しいと思える一時でした。ハイビームだと明るすぎて周りの景色も判りませんが、ロービームで周りの景色を見ながら歩くのも趣があって良いものです。山頂まで来ると霧が深くなり濡れて寒いので、暑がりの私も流石にウィンドブレーカーを着込みます。合わせて補給、ライトの電池交換を済ませます。下りに入ると霧が深くハイビームでも足元がよく判りません。このような場合スポット配光も必要だと気付かされました。下りも路面がぬれて滑るのでなかなか思い切り下れる場面は少ない。

スタートから11時間17分で第二関門の月夜見山に到着。距離は37kmくらい。ここまで水を1.5リットル弱消費。丁度消費した分の1.5リットル、スポーツドリンクを補給して貰う。疲れて羊羹もなかなか飲み込めないようになって来たので、ジェルも用意しておけば良かったと後悔。少し下ると御前山への登りへ。ここも三頭山と同じくらい長い登りが続く。疲れが出てきたので三頭山ほどのペースでは登れず、1歩1歩登る感じになる。御前山からの下りも滑りやすく、前後に人がいるので走れる場面は少なく、前の人に付いて下るのみ。そして、最後のピーク、大岳山へは急で岩場もある登り辛い道。ここが一番苦しい所でした。ピークを過ぎても急で滑りやすい下りが続き下りも楽ではない。

大岳山から2km程下るとやっと水場に到着。ここまで水をセーブして飲んできたのでここでは思い切り水をいただく。誰かが「ここがゴールでも良いな」と、確かにです。ここからは遊歩道のような道になり、道幅も広くやっとフリーに走れる道となりましたが、急に水を飲み過ぎたらちょっとお腹がおかしくなったので、暫く歩く。程なく落ち着いたので走り始めると夜が明けてきた。

スタートから16時間5分で第三関門の御岳山に到着。距離は52kmくらい。ここはそのまま通過して日の出山へ向かう。御岳神社への参道なのでしょうか、幅の広い道を進むと日の出山への上りに。「もうすぐ日出が見られるよ」の言葉に最後の登りを頑張ります。日の出山に着くと雲間から朝日が出そうなので暫くベンチに座って休憩。しかし、10分くらい経ってもなかなか出ないので諦めて下ることに。

少し休憩したせいか体調が凄く良くなり、足の痛みも全く無し。丁度前を良いペースで下っている人がいたので付かせてもらってガンガン下る。こんな調子がレース中ずっと続いてくれたらと思うくらい。公園のような所に出ると街中まであと少し。ここで一人抜かれたので今度はその人に付いて下る。そして街中まで降りるとポツポツと雨。その中、2つ程コーナーを曲がると呆気なくゴールでした。(もう少し街中を走ってゴールだと思い込んでいたのでちょっと拍子抜け。)何とか台風の影響が出る前にゴール出来ました。タイムは18時間14分22秒。タイムは全然遅いけど、最後に調子が上がってベースアップ出来たので気持ちよく終われました。渋滞なくフリーで走れたらどうなんでしょうね?それでも16時間以上はかかるかな?

体育館でゆっくり着替えた後、駐車場まで戻る頃には断続的に雨が降り始め、「まだ走ってる人は大変だ」と思いながら帰途に就く。台風が来ていなければいろいろ寄り道する予定でしたが、何処にも寄らず帰ります。静岡辺りから風が強くなり、大阪、兵庫辺りで台風と丁度クロス、前がよく見えないくらいの雨でしたが通行止めとかは無く、無事家に辿り着けました。


腕時計(エプソンSF−710)の記録

タイム    18時間14分22秒
距離     59.5km
総標高差   4690m
平均速度   3.2km/h
消費カロリー 6673kcal
平均心拍   121bpm

雑感
(1)出走者が2300人弱。渋滞は想像以上でした。これだけ人数がいるとフリーで走れる部分は殆どなく、フリーになれたのは大岳山を越えてからの下りだけでした。個人的には自然と対峙しながら黙々と走りたいので落ち着かない大会でした。警察がOKを出さないでしょうが、分割スタートになれば良いなと思います。
選手控え場所の体育館も遅く来たら座る場所も無い位だし、駐車場も少ないし、2500人はそういう面でもキャパシティーオーバーだと思います。
(2)距離的には60km程でした。以前カシミールで地図上測っても60km程で、今回GPS腕時計で測っても60kmだったので、60km程だと思います。なぜ公認マップでは72kmなのか判りません。途中の距離表示が腕時計と大きく違って、あと何キロなのかよく判りませんでした。
(3)総標高差は4700m程。コースプロフィール以上に細かなアップダウンがあり、絶えず上っているか下っているかしている印象でした。トレイル率も高く、最初と最後の街中、変電所前、第二関門付近、御岳神社付近以外は登山道や遊歩道で、その分私のレベルでは走れる部分は少なかったです。一昨年の氷ノ山山系トレイルが13時間程での完走、コースは厳しくても13、4km程氷ノ山より短いので同じくらいのタイムで完走出来るのではと思っていましたが甘かったです。ちょっと舐めてました。
(4)夜間走行の部分が多く、標高の高い部分がどんな所かよく判りませんでしたが、ひたすら同じような森の中を行く感じで変化に乏しく、魅力的なコースかと言われたら、...でした。
(5)24時間の制限時間は休まず歩き続ける力さえあれば完走出来るレベル。長距離レースは完走してなんぼ。競技性を強くして制限時間を短くするより、完走の感動をより多くの人が味わえる方が良いと思うので、制限時間が緩いのは私は良いと思います。自分でもタイムを気にして走りたい時もあるし、のんびり味わって走りたい時もあるし。
(6)夜間走行を楽しみにしている私としては一晩中夜間走行を楽しめたのは良かったです。朝まだ体が起きていない状態から頑張るのも辛いので、昼過ぎからのスタートは前半で消耗しないためにも良いです。
(7)ライトは単4電池のものを使いましたが、一晩中となると電池交換を何度もしないといけなかったので面倒でした。長時間の場合は重くても単3電池のものの方が良かったかな。あと、霧の時などはスポット配光が必要であることが判りました。スポットとワイド配光が切り替えられる機能はあった方が良いと思いました。
(8)水は2.5リットル持って行きました。曇って暑くなかったので汗かきの私ですが今回は十分でした。でも暑くなったらちょっと不安かな。特に前半に水場が無いので。水場は後半に3か所ということでしたが、1か所しか判りませんでした。あと2か所は登山道脇には無いのかな?水場の案内標識くらいは欲しかったですね。
(9)食料は羊羹のみでしたが、中盤の苦しい時には羊羹を飲み込むのも一苦労したので疲れた時用にジェルと半々くらいにすべきでした。絶えず前後に人がいて動きの中で羊羹を食べるのも苦しかったので、そういう意味でも直ぐに飲み込めるジェルも必要でした。
(10)ザックはYURENIKUI ZAINOを使用。ハセツネでも使っている人を何人か見ました。もう山行では何度も使っていますが、ここでついでに評価を書いておきます。
・出来るだけザックを身に着けたまま処理したいので、メッシュポケットの多いこのザックは自分の用途に合っていると思って買いました。が、使い勝手がまだまだでした。先ずメッシュポケットの入口のオレンジのゴムがあまり伸びず、ザックを身に着けた時、ポケットに手を入れ物を出し入れするのに一苦労。かなりフラストレーションが溜まります。そのオレンジのゴムの部分を縫い付けている糸も伸縮性がなく、使用前からブチブチ切れて、使う前から裁縫をすることに。
・ボトルポケットの下のメッシュポケットも最近の大きなスマホを入れるには小さくてはみ出ます。それでいて、ボトルポケットの底と干渉して物が取り出しにくい。
・ゴワゴワした生地で、ちょっと重い。ULTIMATEやマウンテンハードウェアのベストのような柔らかくて軽い生地だったら良かったけど。
ということでまだまだ改良の余地ありな製品でした。生地の改良、ポケット入口の改良、ポケットを更に大きくして、数も増やしてくれれば(ウエストベルトの幅を広くしてそこにポケットを設けるとか、ULTIMATEの様にボトルポケットの横にポケットを付けるとか)、また買ってもいいかな。
(11)熊鈴が必須装備の大会もありますが、私は持って行っても鳴らさないです。自然の音や自分の足音などを聞きながら走りたいので、熊鈴の音はちょっと興醒めかな。これは意見が分かれると思いますが・・・。
(12)完走Tシャツは貰えますが、参加賞も大したことないし、補給もレギュレーションで水1.5Lのみ。2500人も集めることを考えると、もっと参加費は安くて良いのではと思います。

近くであれば毎年出ても良いですが、東京まで行って走りたいと思える程の大会ではなかったかな。ただ、もう一度タイムを気にして走ってみたい気はします。

スタート風景

応援

渋滞

渋滞

浅間峠

日の出山からの朝焼け

ゴール風景

コース図

コースプロフィール