UTMFレポート

完走してませんがUTMFのレポートです。

前日
 5時に岡山を出発。富士北麓駐車場へは12半に着く。駐車している車が少なかったので、「本当にここで良いの?」と思いましたが、丁度バスがやって来た。乗り込んだのは6,7組位と少ない。会場に到着するとマイカーで来ている人も居たりして。事務局に確認したらマイカーでの来場はNGということでしたが・・・。
 受付を済ませ、装備チェックを受ける。最初一人一人やっていましたが、時間がかかるので途中から4人まとめてのチェックに変わる。チェック後、本人確認があるのかと思ったら、無いとのこと。装備に関しては何度もアナウンスがあっただけに厳しくチェックされると思ってましたが緩いものでした。

当日
 宿を10時に出て富士北麓駐車場へ。着替えと最終チェックをして11時半のバスで会場入り。会場周辺で過ごしていると時折通り雨があり雷雨が心配されましたが、結局通り雨だけで済みました。スタート地点へは30分前に列ぶ。主催者側の挨拶等有ったあと15時にスタート。いよいよ160kmの山旅スタートです。

スタート〜A2本栖湖スポーツセンター
 走り出すと早くも最後尾に近い。荷物が重い!この装備での山行をもっとこなしておくべきだったと少々後悔。暫し舗装路を走ったあと足和田山への山道に入ると直ぐに大渋滞。結構待ち時間が長い。A2までは5km/h近く必要ということでちょっと焦る。足和田山を越えて鳴沢氷穴のエイドに着くが、トイレだけ済ませて先に進む。ここからは舗装路の緩い下り区間。渋滞で遅れた分、休まず走り続ける。本栖湖が近づいて来ると左手に富士山が綺麗に見えた。そして、丁度日没を迎えると同時に本栖湖スポーツセンターに到着。

本栖湖スポーツセンター〜麓
 長袖下着、ウィンドブレーカーを着込み、ライトを装着、竜ヶ岳へ向かう。まだまだ前後に人が多いので、渋滞はあまりないもののマイペースでは登れず。淡々と前の人に付いて登る。山頂近くまで登ると月明かりに照らされた富士山、暫し立ち止まってその絶景を楽しむ。竜ヶ岳を越え、滑りやすい下りを注意しながら下ると林道に出て、後は走ったり歩いたりを繰り返しながら麓へ向かう。

麓〜西富士中学
麓のエイドでは30分程休憩。補給とトイレを済ませ、下は長ズボンを履き、上はレインジャケットを着込む。しかし、エイドを出るとあまりに寒くガタガタと震えが来たので、直ぐに立ち止まってフリースシャツも着込む。少し歩き身体が温まったら震えも収まった。そして、前半最大の難所、天子山塊へ入る。山に入るといきなり急登が続く。ここも前後に人がいるのでマイペースでは登れず、休みたい所で休めず、休まなくて良い所で休む状況が続く。加えて、今度は着込み過ぎて暑くなって来た。雪見岳への上りも後半は少し傾斜も緩くなって楽になる。
 雪見岳を越えても熊森山など急なアップダウンが続きなかなかにしんどい区間。長者ヶ岳に着くとスタッフの人達が大勢居られたので富士山を見ながら暫し休憩。しかし、汗をかなりかいたので身体が冷えると途端に寒くなるので長居も出来ず先に進む。一旦下って上り返すとやっと天子ヶ岳に着く。ここでライトが暗くなって来たので電池交換。A2で貰ったLEDライトは無くしてしまったので、持って来た小さなライトが電池交換作業で役に立った。天子ヶ岳からの下りも急坂が多く、踏ん張らないといけないので下りも結構辛い。靴は予定通りHOKA ONE ONE Stinson Evoにしましたが、心配していたつま先の窮屈さが懸念通りになり、既に指周りはマメがかなり出来ている感じ。加えて親指の爪が圧迫されてかなり痛くなってきた。その痛みに耐えながら下ると夜も明けてきて山から抜ける。西富士中学に向かう途中、民家の方が私設エイドを出されていたので水を一杯いただいた。感謝。

西富士中学校〜粟倉
4時46分に西富士中学校に着く。普段の生活と同じで頑張ってる割には貯金はなかなか出来ません。ここでも30分程休憩。富士宮焼きそばが美味しかったので3個も食べる。コーヒーも貰ってから再スタート。1km程歩くと暑くなってきたのでレインジャケットは脱ぐ。ここからは鉄塔巡視路がずっと続く。この区間、殆どアップダウンは無いと思っていましたが、沢筋を横切り鉄塔の足下に上るので、細かなアップダウンの繰り返し。こどもの国までで結構貯金が作れるかと思っていましたが甘かった。

粟倉〜富士山こどもの国
車道に出た所で粟倉に着く。ここはウォーターステーションなので水のみ補給。暑くなってきたのでスタート時点の服装に戻して再スタート。汗で濡れたシャツが冷たかったが直ぐに風で乾く。ここからはひたすら林道が続く。ちょっと走っては歩くの繰り返し。皆さん早歩きが速く歩くと徐々に引き離される。一つ上り下りをこなすと富士山こどもの国への上りが続く。途中、あと6kmとスタッフの人が教えてくれましたが、SUUNTO AMBITを信じるともう8kmは有りそう。そのSUUNTO AMBIT、雪見岳への上りでかなりロストしたのか8kmほどプラスされましたが、案外正確な距離を今のところ表示しています。4重の服で時計を覆ったのが原因かも。(で、こどもの国までは実際8km有りました。)林道を登り切り、折り返してきたランナーが現れると富士山こどもの国はもうすぐ。

富士山こどもの国〜水ヶ塚公園
 10時前にこどもの国に到着。予定では18時間くらいでは着けると思っていましたが、1時間程超過。西富士中学校からここまでちょっと頑張り過ぎたか、足の筋肉もかなりパンパン。それ以上に足の指が全滅といった感じ。半分でこれでは完走はかなり難しい状況になったと感じる。取り合えずドロップバックを貰って暫し休憩後、後半に向けての準備に入る。
 ・ウェアの入れ替え。
 ・靴の履き替え。
  ALTRA LONE PEAKに履き替えました。
  靴下を脱ぐと指周り血マメだらけ。安全ピンで水抜きしてから靴下を履き替える。
 ・SUUNTO AMBITの充電
 ・スマートフォン、ライトの電池交換
 ・補給
  カップヌードル、富士山ひらら、ジェル1本、1口ドーナツ4個くらい補給
  水分はバッグに入れていたコーラとエイドの水で1Lくらい補給。
 準備が終わるとエイドに入って既に1時間半くらい経っていました。眠くはないものの、少しは身体を休めたいと思い芝生の上で10分程大の字になって休んでから後半戦に向かう。取り合えずまだ100kmを越えたことは無いので山中湖きららまではと思う。

富士山こどもの国〜水ヶ塚公園
 歩き出すと身体が重いし、足が痛い。胃腸の調子が快調でエネルギー切れの心配は無さそうなのが唯一救い。ストックが使えなくなったのも結構辛い。上りは手で膝の上を押さえながら上るが息が上がり気味。下りは足の痛みで走れず。天気も暑いくらいになってきたので、厳しい区間でもない区間がかなり苦しい区間となった。

水ヶ塚公園〜御殿場口太郎坊
 山道を抜け車道に出ると正面に富士山が見え、水ヶ塚公園のエイドに着く。餃子入りうどんを2杯とパンなどを補給し、今回コースの最高標高点を目指す。山道に入る所でスタッフの人から「ここから走行禁止です。」と言われましたが、「大丈夫、もう走れません。」と切り返す。1.5km程登り、平坦路に出ると、一気に眠気に襲われる。夢遊病者のようにちょっとふらつきながら歩くが、再び最高点への上りに入ると眠気も無くなった。しかし、ここに来て砂礫道の上りは辛く、間近に見える富士山の勇壮な姿と振り返って見える下界の景色に救われる。最高標高点を通過後、走行禁止区間が何処までだったか憶えていなかったので御殿場口太郎坊のエイド近くまで歩いて下る。

御殿場口太郎坊〜すばしり
太郎坊のエイドでは蕎麦とおにぎりをいただく。ちょっと寒くなったが、また動き出せば暑くなるのでスタート時の服装でそのまま行く。太郎坊から少し下ると林道ような平坦路が続く。若干回復したので、少し走れるようになった。そして、車道に出てエイドまでの3km程の下りを休まず走って下る。

すばしり〜山中湖きらら
 すばしりではお汁粉、雑煮をいただき補給。ウェアは長ズボンを履き、半袖シャツから長袖下着に着替え、ウィンドブレーカー、レインジャケットを着込む。準備は出来たが休んでいると左目の血管から出血したようで血が黒く見えるようになった。3月の終わりに2度ほどなったのですが、この日にまたなるとは。前回2回は直ぐに血が止まって10分程度で血も見えなくなったので暫し経過観察。足の痛みもかなり辛くなって次に進むべきかと思っていたところだったので、更に心配事が増えて「行くべきか止めるべきか」自問自答の時間が続く。幸い15分程経過を見て血も見えなくなったので先に進むことにした。
 エイドを出ると丁度日没になったのでライトを点灯し山に入る。暫く登ると暑くなったのでレインジャケット、手袋は脱ぐ。もう身体が燃焼しているので、動いている間は寒くないようだ。大洞山、三国山の山塊は急傾斜なアップダウンは無く道も歩き易いのが助かる。ハーハー言いながらもまだ休まず登れるが、下りは足が痛くて殆ど歩きが続く。目の血管から更に出血しないかハラハラしながらの行軍が続く。三国山を過ぎ下ると直ぐに車道に出て後は下るだけと思ったらもう一登りあったのが辛かった。そして、山から下りてきららまでの車道歩きで足の痛みが限界に近くなってきた。

山中湖きらら〜二十曲峠
 補給し、レインウェア上下を着込み(フリースシャツは着ず)準備はしたものの、ここでも先に進むべきかの自問自答の時間が続く。結局次の二十曲峠までは標高差も大したことなく距離も短いので行くことにした。きららを出るとテレビで見た福田六花医師のメディカルチェックを受け屈伸。何とかクリアする。山までの車道歩きで2度目の睡魔がやって来て、途中道を間違えたが直ぐに復帰出来た。山に入ると林道の上りが続く。しんどいながらもエネルギーは切れていないので上りはゆっくりでも登り続けられるようだ。だが、石割神社を過ぎてからの山道はハシゴ有り、ロープ有りの山道で結構きつかった。そして石割山からの下りは一歩一歩痛みが走り辛かった。
 二十曲峠のエイドには関門50分前くらいに到着。到着と同時に装備チェックを受ける。チェックされたのはレインウェア上下、サバイバルブランケット、ライトのみ。関門10分前まで悩んだが、足先(指周り)の痛みが限界なのと、目が心配(昨年網膜裂孔になって以来、以前よりは不自由になっているので、更に悪くなるのは避けたい)なので、スタミナ的な余力はまだ十分ありましたが、リタイヤすることにしました。160kmの山旅は127km地点で終了です。

 今思うと何でそこで先に行かなかったのだろうとも考えますが、その時の判断を正解とします。
もう少し時間的余裕を持ってこなせると思っていましたが、力の無さを実感しました。逆に、2晩寝ずに行動出来る力が自分にもあること、疲れた後も30分や1時間休めばある程度回復出来ること、食べ続けられることなどやってみないと判らないことも沢山得られたと思います。コースも二十曲峠までは判ったので、またチャレンジする機会が有ればチャレンジしようと思います。
 しかし、ロングトレイルは楽しいですね。自問自答の時間が苦しいけど楽しいのかも。完走は出来ませんでしたが、十分楽しめたと思います。

その後
 二十曲峠から会場まで送って貰い、荷物とドロップバックを回収し、バスで北麓駐車場へ。その頃には歩くのも辛かったのでそのまま帰ることにしました。途中、PAで一回仮眠しただけで後はノンストップ。足の痛み、眠気、肩こり、腹筋の痛み、交通渋滞などなかなか辛い8時間労働でしたが、何とか無事に家まで辿り着きました。

GPSから拾った時間経過

河口湖八木崎公園 15:00〜鳴沢氷穴 17:16
鳴沢氷穴 17:20〜本栖湖スポーツセンター 18:50
本栖湖スポーツセンター 19:06〜麓 21:54
麓 22:22〜西富士中学校 4:36
西富士中学校 5:08〜粟倉 7:03
粟倉 7:13〜富士山こどもの国 9:55
富士山こどもの国 11:43〜水ヶ塚公園 14:14
水ヶ塚公園 14:37 〜御殿場口太郎坊 16:23
御殿場口太郎坊 16:40〜すばしり 18:03
すばしり 18:47 〜山中湖きらら 23:06
山中湖きらら 0:13〜二十曲峠 2:09

腕時計(SUUNTO AMBIT)の記録
 距離 136.1km(雪見岳の上りでロストし8km位余分にプラスされてます。)
 標高差 5980m
 消費カロリー 9109kcal
 平均心拍 116

装備等の備忘録

 距離の短い区間 600mlのペットボトル2本
 距離の長い区間 600mlのペットボトル3本
 1kmで100mlくらい消費する感覚で飲む。

 +エイドで200〜400mlくらい補給

 上記間隔で丁度良いくらいでした。

食糧
 持って行った物(前半)
  ジェル10本 6本消費
  一口ドーナツ10個 7個消費
  一口バームクーヘン4個 2個消費
  パイ菓子6個 食べず

 基本的にエイドで出された食べ物をしっかり採ればそんなに食料を持って行く必要はないと感じました。(エイドで出された菓子やパンを貰って行動中に食べることも出来ますし。)食べ物が出ない、又は、少ないエイドでの補給と行動時の補給用としての分を持てば良いかと思いました。ジェルだけだと食べた感じが無いので固形物と交互に採りながら、短い距離の区間ではジェル1本と菓子1個、長い区間はジェル2本と菓子2個くらいの間隔で採りました。
 私の場合、胃腸が弱いので食べられなくなるパターンになる事が多いのですが、今回は食べても食べても大丈夫で、足の痛みでリタイヤしましたが、最後までエネルギー切れすることはありませんでした。
 これだけの運動をすると食べたものが殆どエネルギーに変わるのでしょうか?前日の夜から29日7時までトイレ(大)に行きませんでした。

サプリメント
 今回「kentai塩サプリ」を十数本持って行き、1時間くらいの間隔で飲みました。かなりの汗かきなので塩分補給は大事と判っていますが、ここまで塩分補給をしたとは有りませんでした。今回足が痛くなっても攣るところまではいかなかったので効果は十分あったと思います。持って行った物で一番効果を感じられた物かも。

ライト
 PETZL MYO RXPを使用。
 上りではローかミドル、下りでは荒れてない所はミドル、荒れた所はハイ、といった感じで使用し、リチウム電池で一晩までは持ちませんでした。天子ヶ岳山頂で暗くなってきたので電池交換しました。3セット持って行きましたが、リチウム電池で2セット持っていれば1晩は十分でした。


 つま先が窮屈だと判っていながらHOKA ONE ONE Stinson Evoにしたのが、今回の最大の失敗だったかな。20km程の使用では問題ないですが、これだけの長い距離だと大問題でした。勿論靴が悪いのではなく、私の足とフィットしなかっただけです。衝撃吸収力は良いので気に入っているのですが。

腕時計
 SUUNTO AMBITの50時間モード(サンプリング間隔1分)で使用。去年の氷ノ山トレイル以来の出番です。1年前買った時50時間モードを毛無山等で試した時は10km程で1、2km誤差が出て「使えないな」という結果でしたが、今回、雪見岳への上りでロストして8km程プラスされてしまいましたが、それ以外はほぼ正確な距離表示を示していたように思います。ファームウェアの更新が何度か有ったので、その辺りも変更されているのかも。

ウェア
 想像以上に夜は寒かったので、必携のウェアは最低限かなと思いました。下着が濡れていると上に着込んでも寒いので、着替え用の長袖下着を1枚持っていましたが、もう1枚あっても良かったかなと思いました。
 下着のファイントラック・パワーメッシュは殆どの汗を外に出し肌をドライに保ってくれ、改めてその良さを実感しました。今まで下着はいろいろ試して来ましたが、今のところベストな一品かな。その上に着る下着やシャツを着替えて行けばほぼ肌をドライに保てますね。
 手袋はモンベルのメリノウールインナーグローブを使用しましたが、これ一枚で十分暖かかったです。防寒・防水用に持って行ったグローブは使用せずでした。
 暑がりなので帽子は殆ど被らずでした。被ったのはエイドで休憩中身体が冷えた時くらい。

スタート

本栖湖

竜ヶ岳

太郎坊

最高標高点付近